ラブゲーム episode 4:イマジネーションの蜜

ケーキ屋で微笑む女性 翔子ラブゲーム

夜のリビング ── 夫婦の余韻

大地が帰ったあと、静かな夜が戻ってきた。
リビングには紅茶の香りがほのかに漂い、ふたりは灯りを落としたソファに並んで座っていた。
プレイを終え、シャワーを浴び、髪も乾かし終えたあとの、穏やかな余韻の時間。
テーブルには、湯気の立つマグカップがふたつ。甘いミルクティーの香りが、静かに空間を満たしていた。
「……さっきのさ、最後の……あれ。精液、飲んだときの顔……すごく、よかった。」
秀斗がマグを口元に運びながら、ぽつりと呟いた。
翔子は目を細めて、紅茶の表面を見つめたまま返す。
「……え、どこ?」
「ちょっと垂らしてから、飲んで……口開いて、笑ったとこ。あれ、ちょっと……すごく、興奮した。」
「……変なの。見てたんだ、そんなとこまで。」
「見てたよ。というか、カメラの方、向いてたじゃん……」
「……ふふ、そうだったね。」
笑いながら、翔子はカップを両手で包むようにして持ち直す。
ふたりの間に、しばしの沈黙。紅茶の湯気が、夜気に淡く揺れた。
やがて、秀斗が視線を落としたまま、静かに訊ねる。
「……ねぇ、あれって……美味しいの?」
翔子は手を止めて、少しだけ首をかしげた。
「……なにそれ。そんな事、聞くの?」
「うん。気になってた。」
翔子はくすっと笑ってから、少しだけ考えるように答えた。
「味は……うーん……正直、すっごく美味しいってわけじゃないよ?」
「……」
「でもね、あの子が……気持ちよさそうに出してくれたやつを、ちゃんと飲んであげたいなって思ったの。」
彼女の表情には、恥じらいと、ほんの少しだけ誇らしさが混じっていた。
「だから、あの時の笑顔は、味のことじゃないよ。“全部、大丈夫だよ”って……そういう意味だったの。」
翔子は静かにマグを持ち上げると、紅茶をひとくち含み、
ゆっくりと息を吐いた。
夜はまだ深く、けれどふたりの間には、あたたかな甘さが残っていた。
紅茶を飲み終えても、ふたりはしばらく無言で座っていた。
その沈黙が重くはないことを、お互いに感じていた。
「……ねぇ、次の撮影なんだけど」
ふと、翔子が口を開いた。
秀斗は隣を向いて、静かに頷く。
「うん。どうした?」
翔子は一度だけ息を吸い、少しだけ目を伏せてから言った。
「このあいだ、大地くんに聞いたの。……撮ったあと、私のこと思い出して、一人でやってるのかなって」
「……ほう。」
「そしたら……ちゃんと、『はい』って答えてくれたの。ちょっと恥ずかしそうだったけど」
秀斗は微笑みながら、うん、と小さく頷いた。
「そっか。それ、翔子、嬉しかったんじゃない?」
「……うん。ちょっとだけ、ね」
翔子の唇がふっと綻ぶ。
そのまま、カップをテーブルに置き、椅子の背にもたれた。
「だから……次は、見てみたいなって思ったの」
「……見てみたい?」
「うん。大地くんが、私を見ながら……自分でしてるところ」
秀斗の目が少しだけ見開く。
「それ、翔子の目の前で?」
「そう。もちろん……」
いたずらっぽく笑いながら、指を顎に添える。
「焦らすだけじゃなくて……ちょっと、お手伝いもして」
「……エロいね、それ。絶対、興奮する」
秀斗が笑い、翔子も微笑んだ。
けれど、少しだけ声のトーンが変わる。
「でもさ……その前に」
。秀斗がカップを置きながら言った。
「俺のも……飲んでくれない?」
翔子は少しだけ瞬きをして、彼を見つめる。
「……今から?」
「うん。お願い」
翔子は口元を指で押さえて、笑いをかみ殺すように言った。
「……あなたって、ほんとに欲しがりなんだから」
そう言いつつも、どこか照れたように首をすくめる。
「……でも、そういうの……やったことないから」
「?」
「一晩で、違う人のを……続けて飲むって」
秀斗の目が少しだけ見開かれる。
翔子はゆっくりと紅茶を置き、手を膝に添えたまま、小さく息を吐く。
「だから、どうなんだろうなって」
視線を落としながら、ぽつりと続ける。
「……大地くんのだけで、けっこう満たされちゃってたし」
その一言に、秀斗の喉がわずかに鳴る。
翔子はその反応に気づきながら、そっと目を上げた。
「……ねぇ、そういうの、気になる?」
「……当たり前だろ」
「ふふ……ちょっと嬉しい」
翔子は立ち上がると、秀斗の横に膝をついて座り直す。
「じゃあ……あなたのも、ちゃんと飲んであげる」
「翔子……」

ケーキ屋の午後 ── ふたりの日常

午後の店内には、焼きたてのフィナンシェの甘い香りと、遠くで流れるクラシックの音楽が穏やかに満ちていた。
ガラスケースに並ぶケーキの向こう側、カウンターで立つ翔子の姿が見える。
淡いベージュの制服に身を包み、後ろで一つにまとめた髪。
小さく頷くたびに、横顔の曲線がふわりと柔らかく動く。
「こちら、苺のミルフィーユになります。とても軽いクリームで、お茶のお供にもぴったりですよ」
トングの所作には無駄がなく、言葉には静かなあたたかさがあった。
受け取った年配の女性客が、思わず笑みをこぼして帰っていく。
その様子を見送ると、翔子はカウンターの奥に控えていた大地の方を振り返った。
「ありがとう、大地くん。冷蔵のストック、あと二つになってたよ。お願いできる?」
「あ、はい。すぐやります」
大地は少し緊張した声で返しながら、冷蔵庫へと歩く。
その背中に向けて、翔子がそっと声を添える。
「いつも丁寧にやってくれて、助かってるよ。ありがとう」
「……いえ、そんな……」
顔を伏せるようにして答える大地の頬が、少しだけ赤くなっていた。
ミルフィーユを並べ終えたあと、翔子が隣に立つ。
香水とは違う、ほんのり甘い匂いがした。
「ねぇ、大地くん。今週の金曜、夜って空いてる?」
「え……金曜、ですか?」
「うん。また、来てもらえたらなって。前のぶん、ちゃんとお礼したいし」
視線を合わせないまま、いつものやわらかな声。
でもその奥に、何かがあることを大地は直感していた。
「もちろん、無理はしないで。気が向いたらでいいからね」
「……はい。大丈夫です。……行きます」
翔子は彼の答えに深くは触れず、ふと遠くを見るような目をして微笑んだ。
まるで――すべてを見通しているように。

ふたりの夜 ── 翔子と大地のプレイ

玄関のドアが閉まる音がしたあと、しばらく無言のまま、ふたりは廊下を歩いた。
リビングに入ると、大地は一瞬、息を呑む。
中央には、低めのテーブルとソファ。そして、その正面に三脚が立ち、カメラが据えられていた。
「立ってて。そこ、光がちょうどいいから」
翔子の声は落ち着いていた。
制服ではなく、白いシャツにスカート姿。けれど、どこかいつもより、動きに含みがある。
大地が指定された位置に立つと、翔子が後ろに回り込む。
彼のシャツの襟元に、そっと唇が触れた。
「……今日は、ちゃんと見せてもらうからね」
くすぐったいほどやわらかい声。
翔子の指が、ボタンを一つずつ外していく。大地はそれを止めようとはしなかった。
「……あの、ちょっと……緊張してて……」
「ふふ、知ってるよ。……だって、まだ、固くなってないもんね」
翔子の声が耳元に落ちる。
恥ずかしさに顔を赤くしながら、大地は視線を逸らす。
「……すみません」
「謝ることじゃないよ。緊張してる証拠だもん。……かわいいね」
そう言いながら、翔子は大地のズボンのベルトを外し、ゆっくりと下ろしていく。
パンツの上からでも、まだ控えめな隆起があるだけ。
それすらも、彼には大きな羞恥だった。
翔子はその上から指先でなぞり、くすっと笑う。
パンツに指をかけ、膝まで一気に下ろす。
柔らかな布が足元へ落ちると、下着に包まれていたものが露わになった。
まだ反応はしていない。
けれど、その状態でも、翔子の目にははっきりとわかる形だった。
「……あら……」
思わず、というように漏れた声。
翔子は目を細め、しゃがみ込んでゆっくりと見上げた。
「……まだ勃ってないのに、やっぱり大きい……」
指先が、触れそうで触れない距離をなぞる。
その視線には、ほんのりとした驚きと、確かな熱が宿っていた。
恥ずかしさに、思わず大地の足がすこし震える。
「……すみません、まだ……」
「大丈夫。ゆっくり楽しもうね」
翔子は目を細めて微笑んだ。
その笑顔は、褒めるだけじゃない。
どこかで、“これからじっくり味わうね”という予告のようでもあった。
翔子は立ち上がると、リビングの照明を少しだけ落とした。
柔らかな光が輪郭だけを浮かび上がらせる。
彼女は静かに背を向け、壁際の姿見の前に立つ。
その動きはゆっくりとしていて、何も言わずとも――何かを見せようとしていることが伝わってきた。
キャミソールは、身体にぴったりと沿う薄布。
肩紐から下、背中は大きく開いていて、腰のくびれへと滑らかに続いている。
その下にのぞくのは、黒のTバック。
生地の細さはまるでリボンのようで、ヒップの中心を深く食い込ませながら、左右の柔らかな曲線を浮かび上がらせていた。
翔子は、腰に手を添え、ゆっくりと片足を一歩前に出す。
その瞬間、ヒップが自然に上がり、Tバックがさらに深く割れ目に吸い込まれるように沈んだ。
「……見てくれてる?」
振り返りもせず、声だけが静かに届いた。
翔子は大地の視線を鏡越しに捉えながら、指をヒップに添え、
Tバックの両端を軽く引き上げた。
ぐい、と布が割れ目にさらに食い込み、肌がきゅっと寄せられる。
「こんなふうに……してたら、どうかな」
両脚をぴたりと閉じたまま、翔子はゆっくりと腰を突き出す。
まるで誰かに押しつけているような角度で、背筋を伸ばしたまま。
ヒップの丸みが、光を受けてなめらかに浮かび上がる。
深く刻まれた割れ目の陰影が、視線を引き込んで離さない。
「……ねぇ、大地くん。こういうのは、どう?」
翔子は片膝を軽く曲げ、ヒップを揺らすようにして後ろを振り返る。
視線はまっすぐではない。
けれど、どこかで“大地が見ていること”を意識しているのがわかる。
翔子の唇がわずかに開き、静かに吐息が漏れる。
「……早く、見せて。……あなたの“反応”」
翔子がヒップを揺らしながら振り返ったその瞬間、
大地の下腹部に、わずかな変化が生まれていた。
緩く垂れていた肉が、徐々に持ち上がり、
まだ中途半端ながらも、明らかに硬さを帯びはじめていた。
その様子を目にした翔子の瞳が、ふと細まる。

翔子はしゃがみ込み、ゆっくりと彼の股間に目を落とす。

熱を帯びはじめた膨らみが、布の下に輪郭を主張していた。

指先で根元をそっとなぞると、竿がぴくりと震える。

「……うん。いつも通り、立派だね。……硬さも、太さも、長さも……」

その言葉に、大地の喉が鳴る。
目を伏せ、肩がこわばるのがはっきりと伝わってくる。

「……あ、あの……」

言葉にならない声が、唇の端から零れる。
翔子が立ち上がり、ソファに腰を下ろすと、
大地はまるで逃げ場を失ったように、その場に立ち尽くした。

「……ね、大地くん。今日は見せてくれる?」

「……え……?」

目を見開く。
聞き間違いかと疑うように、翔子の表情を探る。

「あなたが私のことを思いながら、一人でしてるとこ。……見たいの」

「そ、そんな……」

反射的に後ずさろうとした脚が、すぐに止まる。
逃げたくても、翔子の視線がそれを許さない。

「大丈夫。私は見てるだけ。ね?」

視線が絡む。
大地は喉を詰まらせながら、目を逸らし、両手をそっと下腹部へ伸ばした。

「……ほんとに……見るんですね……」

震える手で、自分のものをそっと包み込む。
その瞬間、全身がぴくりと震えた。

翔子は、ソファの上で脚を軽く組み、
まるで舞台を見守る観客のように、静かにその様子を見つめていた。

大地の指が、自分のものを握ったまま、ぴたりと止まった。

「……あ、あれ……」

わずかに下を向き、声が震える。

緊張と羞恥、それに翔子の視線が重なって、
勃ちかけていたものが、わずかに力を失い始めていた。

翔子はその様子を見て、ふっと微笑む。
ソファから立ち上がり、静かに言った。

「……うん、大丈夫。焦らなくていいよ」

翔子は一歩前に出ると、
大地のすぐ目の前に、静かにひざまずいた。
そのまま両手をついて腰を落とし、身体を前に傾けていく。
大地が視線を下ろすと――
目に飛び込んできたのは、
深く割れ込んだTバックのヒップと、
反らせた上体の先、亀頭のすぐ前で見上げてくる翔子の顔だった。
ふたつの刺激が、同時に、視界を埋めた。
翔子の唇がゆっくりと開く。
そのまま、わざとらしいほどにゆっくりと――
舌先を、じわりと伸ばす。
ぴ、と舌の先端が、亀頭のすぐ下をなぞる。
一度、ゆっくり。
そして角度を変え、今度は側面を、ねっとりと舐め上げる。
「……見てるよね、大地くん?」
見上げたままの目が、しっかりと絡みついてくる。
舌が触れるたび、ぴくり、ぴくりと反応する亀頭。
それを、翔子はまるで“観察するように”――
そして、“見せつけるように”――
舌を細かく動かしながら、じっくりと味わっていく。
ときおり、唇の端に笑みを浮かべながら、
ついばむように、撫でるように。
その動きすべてが、“見せるため”のものだった。
翔子は、ぬるりと舌先を亀頭から竿の裏筋まで滑らせたあと――
唇をゆっくりと開き、角度を調整するように顔を少し傾けた。
そしてそのまま――
亀頭を唇の間に挟み込む。
じゅる……
静かな粘膜音が、唇の奥で吸い上げるように響く。
翔子の口内が、熱をもって竿を包み込んでいく。
喉の奥に近づくたび、彼女の目元がわずかに歪む。
見上げる視線のまま、眉をきゅっと寄せるようにして、
ほんの少しだけ、苦しげな表情を浮かべる。
だが、それを止めようとはしない。
ぐっ……ともう一段、喉の奥まで咥え込む。
その瞬間、大地の身体が反射的に震える。
竿は限界まで膨張し、皮膚の表面がぴんと張リ詰めていた。
翔子は喉奥まで咥えたまま、
一度だけ、目を見開くようにして彼を見上げた。
そして――
じゅぶっ……ちゅる、ぐっ……じゅるる……
音を、立てはじめた。
唇を締め、頬をくぼませ、喉をうねらせながら――
ストロークが始まる。
バキューム音が、空間にしっかりと響く。
彼女の動きは、いやらしくも、美しかった。
口内の奥で吸い上げるような動きと、
唇を上下させるリズムの緩急。
視線は逸らさない。
喉奥まで咥えたまま、大地の目を、見上げ続けている。
その瞳には、見せつける悦びと、快楽に沈んでいく気配が同時に宿っていた。
翔子はゆっくりと、口を離した。
亀頭が唇の間から抜け出す瞬間――
唾液が、とろりと粘って糸を引いた。
細く透明な筋が、竿と唇のあいだにしばらく揺れ、
やがて重さに負けて、ぽたりと床に落ちる。
「……うん、ちゃんと元に戻ったね。……これなら、続きができそう」
そう言って、翔子はにこりと笑った。
唇の端にうっすらと濡れた光を残したまま。
「じゃあ……今度は、また自分でやってみて?」
促すように視線を向けると、大地は動揺しながらも頷く。
震える指が、再び自分自身へと触れ始める。
翔子は立ち上がり、そのままゆっくりと大地の背後へと回る。
そして、そっと耳元に口を寄せた。
「……ねぇ、大地くん」
吐息混じりの声が、耳の内側にしみ込む。
「……私と、どんなことをしてみたいの?」
囁きは甘く、けれど逃がさない。
「……どんな格好の私を想像して、してるの?」
「制服? Tバック? おっぱい?」
唇が耳たぶに触れるか触れないかの距離で、
声がすべてを溶かしていく。
「……教えて? ちゃんと、言葉で聞かせて」
その声は、大地の手元以上に、心を揺らしていた。
「……その、あの……」
大地は、視線を彷徨わせながら、唇を震わせる。
「……翔子さんに……“入れてもいいよ”って……言ってもらえるのを、想像してて……」
言い終わった瞬間、肩が小さく震えた。
口にするだけで顔が熱くなるほどの妄想だった。
翔子は、大地の耳元でそっと囁き返す。
「……ふふ、それで? 私に入れちゃうの?」
大地は言葉を詰まらせながら、うなずくようにして答える。
「……はい……」
「……どんな体位で?」
大地は息を止めるようにしてから、ぽつりと呟いた。
「……普通の、です……」
翔子は目を細め、声を少し落として言った。
「……普通、ってどんなの?」
「えっ……」
「教えて? ちゃんと聞かせて。……私のどこに、どうやって?」
翔子の声には笑いがにじんでいた。
でも、それは意地悪だけじゃない。
“ちゃんと聞きたい”という、素直な興味がそこにはあった。
大地は息を詰めたまま、唇を震わせていた。
翔子は、その横顔にそっと唇を寄せる。
「……ねぇ、大地くん。……妄想、ぜんぶ教えて?」

翔子は、白いシーツの上に静かに仰向けになっていた

脚を自然に開き、両手で自らの太ももを軽く押さえて――
潤んだ目で、大地を見上げている。
「……大地くん、生で……入れて」
その声は震えていて、それでいてどこか熱を孕んでいた。
頬がほんのりと赤く染まり、吐息が上ずっている。
大地の手がTバックのサイドに触れる。
指を引っかけ、ゆっくりと滑らせるようにして腰の下へ――
黒い布が脱がされ、翔子の脚の間に滑り落ちた。
大地は膝立ちになり、己の硬く張り詰めたものを手に持つ。
その先端を、翔子の脚の間にそっとあてがう。
「……ゆっくり、ね」
翔子はそう言って、恥ずかしそうに目を伏せた。
「……こんなに大きいの、はじめてだから……」
ぴたりと、割れ目に亀頭が触れる。
熱が伝わる。
そのまま、大地は慎重に――押し込む。
ぐっ、と先端が割れ目を分けて、半分ほど沈んだ。
「……すごい……大きい……」
翔子がぽつりと呟く。
声は震えていたが、どこか喜びのような響きもあった。
そして――
くちゅ、と音を立てて、
翔子の奥が亀頭をすっぽりと飲み込む。
「……っん……」
低く、湿った声が、翔子の喉の奥から漏れた。
脚がかすかに震え、
腰が無意識に受け入れるように沈み込む。
翔子は目を閉じ、唇をわずかに噛みながら、
その“感触”を全身で味わっていた。
翔子の中に、亀頭がゆっくりと沈みきったあと――
大地は一度、ほんのわずかに腰を引いた。
そして、再び、静かに押し込む。
最初は、ほんの数センチ。
次に、半分ほど。
翔子の奥にあわせるように、焦らすように、
深く、ゆっくりと。
「……ん、ぁ……あっ……」
翔子の唇から、か細い声が漏れる。
最初は戸惑いが混ざっていたが、ピストンを繰り返すごとに、
その響きは確実に、熱を帯びていった。
「……ふぅ、ん……はぁ……っ」
呼吸が乱れ、腰がわずかに動きはじめる。
翔子の内側が、大地の動きに反応し、
やわらかく、ぬるりと絡みついてくる。
その様子に、大地は思わず上体を倒し、
顔を近づけた。
翔子は、ぼんやりとした目で彼を見上げる。
そのまま、濡れた唇が、ゆっくりと開かれ――
「……んっ」
翔子の舌が、先に動いた。
まっすぐに、大地の舌へと絡めてくる。
とろけるように、やさしく、熱く。
唇と唇、舌と舌が溶け合うように重なった。
甘い音と、吐息が混じる。
「……ん、ふっ……ちゅ……」
翔子は、まるで“あなたが欲しい”と伝えるように、
自ら口を押しつけ、舌を絡め、深く絡みついてくる。
翔子の舌が絡みつき、唇が何度も重なったあと――
大地は無意識のうちに、腰の動きを早めていた。
ぬるりと濡れた感触の奥に、熱が宿り、
ピストンのリズムが深く、鋭く、貪るように変わっていく。
「……っあ、あぁ……っ!」
翔子の身体が、ビクリと仰け反る。
頭を枕に預けたまま、目を閉じ、唇を震わせ――
「……んっ、く……ふ、ぅ……っ!」
言葉にならない声が、喉の奥から漏れた。
両脚が自然に持ち上がり、大地の腰を抱え込むように巻きつく。
そのまま太ももがしっかりと彼の体を引き寄せ、
内側の奥まで、自らを開いて迎え入れる。
腕も、力が入らなくなったように上へと投げ出される。
翔子の指が、シーツをぎゅっと掴んだ。
「……は、ぁ……っ、んんっ……!」
その反応に、大地の理性もさらに溶けていく。
ぐっ、ぐっ、とリズムは早まり、
ベッドが微かに軋む音とともに、
熱と水音が交差する。
翔子の腰が跳ね、胸が揺れ、
全身が快感の波にゆらゆらと飲まれていった。
「……ん、んんっ……ダメ……ダメ……っ」
翔子の声が、かすれながら漏れた。
仰け反ったまま、大地の体を脚で強く引き寄せている。
「……イキそう……っ、やだ、もう……っ」
腰が勝手に跳ね、シーツを掴む手にも力が入らない。
目を閉じ、唇が震え、喉の奥から甘い声が漏れ続ける。
「……いく……いっちゃう……っ!」
その言葉に、大地の顔が苦しげに歪む。
「……翔子さん、俺も……もう、イきそうです……っ!」
「……うん……っ、いい、出して……一緒にいこう……っ」
翔子は頭を左右に小さく振りながら、
濡れた瞳で見上げる。
「……一緒に、いこう……っ、一緒に……っ!」
その言葉が、大地を一気に突き落とした。
最後のひと突きで、翔子の身体がびくんと跳ねる。
同時に、大地の腰が深く沈み――
ふたりは、完全に重なったまま、
全身を強張らせる。
「……ぁ、っ……!」
「……翔子さん……っ!」
快感が波となって全身を駆け抜け、
鼓動と吐息と、熱い痙攣が、ふたりを貫いた。
シーツを掴んだ翔子の指が解け、
大地の背に回された脚が、ゆるくほどけていく。
ふたりの身体は、重なったまま、
微かに震えながら、余韻のなかで結ばれていた。
快感の余韻がぼんやりと身体を包み、
目の前の景色が少しずつ、現実の色に戻っていく。
大地がふと視線を落とすと、
そこには――翔子が、笑顔でひざまずいていた。

両手をそっとすぼめるようにして差し出し、
その掌には、大地が放った白濁がとろりと溜まっていた。

「……ふふ、すごい量」

そう言いながら、翔子はそのまま両手を顔の前にゆっくりと持ち上げる。

両の掌に残る、とろりとした白。
糸を引きながら揺れるその感触を、
翔子はしばらくじっと見つめていた。

そして――
舌を、すっと突き出す。

自分の手のひらに向かって、ゆっくりと。
慎重に角度を合わせて、
掌にこぼれた精液にぺたりと舌を押し当てた。

「……ん……」

湿った音が微かに響く。

舌をすべらせながら、手のひらのくぼみに残る精液をすくい取っていく。
指の間に残った滴りも、
指先で寄せて、ぬるりとすくって、また舌を伸ばす。

翔子の喉が、ごくりと鳴る。

「……あったかいね……」

そう呟きながら、もう一度舌を伸ばし、
両手を、まるで味わうように丁寧に舐めていく。

白濁が舌に絡むたび、翔子の表情はどこか柔らかく、
目元にはとろんとした光が宿っていた。

やがて掌の上に何も残らなくなったとき――
翔子は唇をぺろりと舐め、
白い歯を見せて、にこりと笑った。

「……出してくれて、ありがとう」
そう言って、翔子はゆっくりと指を動かし、
大地のまだ余熱を残すペニスに舌を伸ばした。
ぴ、と。
竿についた精液を、丁寧に舐め取る。
「……こぼれちゃうと、もったいないからね」
やさしく笑いながら、根本から先端へと、
舌を沿わせるように這わせる。
そして――そのまま唇を開き、
柔らかな口内へと、ゆっくりと含んだ。
じゅる……ちゅっ……
音を立てないように、やさしく、なめらかに。
舌で包み、唇でなぞり、
まるで最後の一滴まで“感謝”を込めるように、
丁寧に、静かに、後始末をしていく。
その口元には、快楽ではなく、
あたたかな満足の気配が滲んでいた。
翔子は、ゆっくりと大地のペニスを口に含み、
静かに舌を這わせながら、丁寧に掃除を続けていた。
唇をぴたりと閉じ、
竿全体を優しく包み込むように動かすたび、
残っていた精液がぬるりと回収されていく。
そんな最中、
翔子がふっと顔を上げた。
「……ねぇ、大地くん」
口元にわずかに残る光を拭いもせず、
いたずらっぽく笑いながら、視線を絡める。
「……私のこと、イかせちゃったの?」
大地が思わず言葉を詰まらせる。
「妄想の中で……中に出したんでしょ?」
唇の端をくいっと上げて、
もう一度、舌で先端をなぞる。
「ふふ……こんなに大きいのが、入ったら……」
翔子はぴたりと口を止め、
じっと竿を見つめたあと――
「……私、どうなっちゃうんだろうね?」
笑った。
白い歯を見せて、やわらかく、からかうように。
その笑顔に、大地は返す言葉もなく、
ただ、また目を逸らした。
翔子はそのまま、
ふっと口元をぬぐい、
一言も言わずに立ち上がった。
夜の空気が、静かに、甘く残ったまま――
すべては、幕を下ろした。

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